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あなたのモチベーションはどのタイプ?
アメリカにあるロチェスター大学のデシとライアン(1)が提唱する「自己決定理論」という理論があります。
これは、勉強や働くことなど行動する時に、自己決定が大切だというものです。
自己決定つまり自律性が高ければ高いほど、高いパフォーマンスを上げることができると言われています。
やる気が出ない、モチベーション(動機)があがらないには理由があります。
理由を理解することはとても重要です。
ここでは、自己決定理論の中でも重要な有機的統合理論について説明していきます。
デシとライアンは、自律性の程度を6つの段階に分類しました。
基本的な分類は以下です。

- 無気力調整スタイル
- 外的調整スタイル
- 取り入れ的調整スタイル
- 同一化的調整スタイル
- 統合的調整スタイル
- 内発的調整スタイル
1-6まであり、自律性は、数字が大きくなればなるほど高くなります。
自律性が高いほど、健康度や幸福度が比例します。
モチベーションは3つに分かれます。
- 無気力
- 外発的モチベーション
- 内発的モチベーション
無気力とは、やる気がない状況です。
外発的モチベーションは、外側からの影響によって得られます。
内発的モチベーションは、内側(自分自身)の内面によって得られます。
それでは、各段階を説明します。
1.無気力調整スタイル

無気力は、行動する動機がおきないことです。
やる意味を感じなければ、行動もおきません。
また行動していても結果が得られないと無気力状態になることもあります。
2.外的調整スタイル

外的スタイルとは
- やらないと叱られるから
- 親に言われるから
- 先生に怒られるから
自分の意思ではなく、他人からの影響です。
3.取り入れ的調整スタイル

取り入れ的調整スタイルとは、
- やらなければならないから
- 恥をかきたくないから
下記の出来事もこちらに当てはまります。
今日中に宿題をやらなければならない。
明日のプレゼンテーションで恥をかきたくないから練習しよう。
義務感で行っていることが取り入れ調整スタイルです。
4.統合的調整スタイル

統合的調整スタイルは、
- 自分にとって重要だから
- 将来のために必要だから
自分と関係していることとして、モチベーションをとらえます。
5.同一化的調整スタイル

同一化調整スタイルも行動を自分に近づけて考えます。
- 自分の価値観と一致しているから
- やりたいと自分が思うから
同一化的調整スタイルだとパフォーマンスが向上します。
自分がやりたいと思うから取り組んでいると思えることが大切です。
6.内発的調整スタイル

- 面白いから
- 楽しいから
- 好きだから
- 興味があるから
内発的調整スタイルは自分の内面にあります。
取り組んでいることが楽しい、面白いことです。
内発的なものは最も自律度が高く意欲的です。
内発的モチベーションには、外的報酬は逆効果

各調整スタイルについて説明してきました。
最も自律度が高い内発的モチベーションは、外的報酬を与えると動機が外発的なものに変わることがあります。
それは、楽しいから勉強していることに対して、金銭的報酬を与えた場合、お金が欲しいから勉強することに変化することです。
その結果、モチベーションが変わり、取り組む時間が短くなるケースがでてきます。
内発的なモチベーションには、金銭的報酬を与えることはあまりおすすめしません。
モチベーションを下がらないような、関わりとして、相手を褒めることや賞賛することの方が良いでしょう。
モチベーションは、状況によって変化する

調整スタイルは常に一定ということはありません。
はじめは興味関心がないことでも、好きになる場合もあります。
ここで大切なのが、モチベーションは一定ではなく、変化することです。
下記の会社員がTOEICの勉強するモチベーションの変化について見てみましょう
- 最初:会社からTOEICで600点必要だと言われて、苦手な英語を勉強しだした。
- 1週間後:資格をとらなければという思いが強くなり試験に向けて勉強している
- 1ヶ月後:英語を話せる先輩が海外駐在員に抜擢された。英語ができれば仕事の幅が広がり、駐在員になれるかもしれないと感じ、勉強に取り組むようになった。
- 2ヶ月後:もともと海外で仕事をしたいという思いで入社した理由を思い出した。会社が終わって眠くても自分の将来に必要という思いで勉強を続けた。
- 現在:TOEICの勉強と並行して、英会話教室に通い出した。英語が理解できる、話せることがとても楽しい。
例では、最初から現在まで、1-5にモチベーションが変化しています。
1外的調整スタイル
2取り入れ的調整スタイル
3同一化的調整スタイル
4統合的調整スタイル
5内発的調整スタイルです。
※必ずしも内発的調整スタイルが良いとは限りません。
同一化調整スタイルの方が内発的調整スタイルより、テストのパフォーマンスが高かったという研究もされています。
まとめ
以上モチベーションの違いについて説明してきました。
現在取り組んでいる自分のモチベーションがどこに当てはまりますか。
デシとライアンの研究から
- 自律性が高い方が、パフォーマンスが上がる
- 自律性が高い方が、健康状態もよくなる
ことが明らかになっています。
まずは、自分のモチベーションを理解することをおすすめします。
その上でモチベーションをどう高めていくかを検討してみましょう。