興味について徹底解説。興味を深めるために必要なこと

興味とはある特定の対象に注意を向けて、積極的に関与しようとする心理状態のことです。興味が高いことで、継続して学習し、深く考え、成績が良くなることが過去の研究から示されています。今回は興味の深さについて説明していきます。

興味は特定の内容に生じる

興味とは、人と環境との相互作用によって形成されていきます。興味は全体に働くものではなく、特定の内容によって生じるものです。例えば、ゲームに興味がある、英語に興味がある、スポーツに興味があるというもので、それぞれの興味やおもしろさは違います。また人によっても興味が違います。また興味持つ部分は人によって違います。どの部分が面白いのかを聞いてみると興味を持つポイントがそれぞれにあります。例えばサッカーに興味を持つ人たちがいるとします。ある人はサッカーでドリブルやパスなど技を習得するのに興味を持つ者もいます。またサッカーでいかに相手からゴールを守るかというディフェンスに興味を持つ者もいます。またサッカーの戦術的な興味を持つ者もいます。つまりサッカーの興味は人によって違うのです。そのため興味を持つ特性や時間的変化も人によって違います。

興味を深めるために必要な3つのモデル

どんな興味の状態だと良いのでしょうか。3つのモデルから興味の状態を考えることができ鼎様相モデル(田中,2017)と言います。

①長期的興味の持続

長期的興味とは時間的に持続する興味のことです。短期的な興味で形成される状況的興味と興味を維持する個人的興味の2つに区別することができます。

②内容が本質的か

興味の要因が浅いものを表面的興味と言います。表面的興味は、人や環境など外的なものから影響を受ける興味です。例えば、先生の教え方がうまいから興味を持っている、テキストがわかりやすいから興味があるなどが当てはまります。表面的興味をどうすれば、取り組む内容自身に興味を持ち、本質的な部分を探求し深めることができるかが大切な視点です。

③価値随伴的であるか

価値随伴的では、外的に生じる興味に比べ、学習内容の価値を認知し、興味を深めることが大切です。例えば、自分でじっくり考えることができるから興味があるといったことは興味が深く考えることができています。

上記のように興味は3つのモデルに対して働きかけることが大切です。教育者や指導者の場合は、学習者の興味を3つの側面から当てはめるとわかりやすいです。例えばある学習者の興味が短い期間のみなのか、それとも長期にわたって持続するものなのか。学習者の興味が表面的興味なものか、本質的なものか。興味が感情的か、価値随伴的な認知的興味にアプローチしているものか。組み合わせは8種類あり、興味が浅い部分に対して働きかけると効果的です。

興味深化の4段階モデル

ヒディとレニンジャーの研究者(R)は興味が深化する段階を4つに分けました。これは上の3つのモデルを浅い興味から深い興味にする4つの段階方法として考えます。それが下記のイラストです。①と②の状況的興味から始まり、③と④の個人的興味に移行すればするほど深い興味と言えます。 

第1段階:状況的興味の喚起

状況的興味とは内容や環境により、喚起される興味です。例えば、教科書がカラフルだったり、イラストが多くて面白い。先生の教え方が上手で興味を持つといったこともこの内容に当てはまります。私の場合、小学5年生の時に先生がことわざを面白く紹介してくれる先生がおり、ことわざに興味を持ったことがあります。しかし小学6年生になったときことわざの興味は5年生に比べて薄れていきました。このように先生がことわざに関して興味を喚起してくれたと言えます。これは個人が主体ではなく、内容や環境が主体で外的に生じたものです。最近だとアクティブラーニングのグループワークの活動やオンライン学習などが推奨されるのは、まさに状況的興味を喚起しやすいからです。

第2段階:状況的興味の維持

第1段階で状況的興味が喚起され、今度は維持するために働きます。維持するための工夫として、プロジェクト型学習など継続した学ぶ環境で状況的興味が維持されます。また1人で継続して取り組むことで状況的興味が維持される場合もあります。ここで大切なのは内容がおもしろいと思うように注意を向けさせることが大切です。内容や知識の価値を高め、より自分で興味を深化させるきっかけとなるからです。

個人的興味へのステップとは

個人的に興味を持つためにはステップがあります。個人的興味は、状況的興味から移行していきます。まず状況的興味との出会いです。いかに興味をもってもらうか環境を整えることが大切です。例えば、授業ではグループワークやクイズ、映像を見る等、楽しく参加できるものと出会うことが大切です。次に大切な事が安定した状況的興味です。興味を持ったものが、とても重要であること、主体的に興味に関与する必要があると思ってもらうように働きかけます。主体性が上がり、自分でも興味を維持することができ個人的興味に移っていきます。

第3段階:個人的興味の出現

状況的興味が維持され、いよいよ個人的興味に移ります。この時には興味がとても肯定的に捉えています。例えば、英語のスピーキングは面白いといった特定の内容に対して感じます。この段階では初期に比べて知識も増えています。興味に対して主体的になっていますが、一方で外部からの支援も大切です。先生や熟達者から教えてもらったり、フィードバックをもらうことでさらに興味を持つことができます。第3段階では外発的動機づけから内発的動機づけに変化していきます。誰かに言われたからやるのではなく、面白いからもっと知りたいと興味を持ち内容を調べるようになる行動を行います。この状況では興味が安定しつつあるので、興味のある内容に対して否定的な感情をもたらす出来事が生じても、前向きに解釈する傾向が強くなっていきます。

第4段階:より深化(発達)した個人的興味

この段階では、興味が持続しており自己調整しながら学ぶことができます。自分の理解を深めることに専念しながら、継続的に興味ある内容を自発的に調べ関わっていきます。指導する際のポイントは、学習者がどんな課題に興味をもち、何を明らかにしたいのかを明確化してあげることです。学習者は明確化することで挑戦し、継続的に取り組みます。他の興味段階に比べ、長時間行なっていても大変だと感じることが少ないです。また第4段階では以前の経験から自分で興味に対して価値づけることができ取り組むことができます。すなわち外的支援をあまり受けなくても自分で興味を調整しながら学ぶことも可能です。

年齢によっては興味の移行が確認されないものもある

過去の研究では年齢によって第4段階にいる者がいないケースも示唆されています。例えば、LipsteinとReniningerが2007年に行なった研究では、ライティングに対して興味が深化する中学生が比較的少ないことが明らかになりました。またRotganとSchmidtが2017年に行なった研究では、理科でも小学生の段階で第4段階への深化が確認できませんでした。なので、子供の場合は発達により興味段階が移行しない場合もあるので、焦らず待つことも大切です。

興味をもたらすために重要なこと

すでに学習した興味のある内容との接続

学生を対象にした研究では、興味をあまり持たずに授業を受ける時でさえ、興味を持ち学習するように支援することは可能です。例えば,Crounchら(2018)の研究では,生命科学部の学生が新たに物理学の内容を学ぶ時、物理学の授業を新たに行うだけよりも、生命科学のすでに知識のある内容(例;光学や細胞膜電位)を物理学の授業に組み込むことで、学生は生命科学と物理学との意義ある関連づけがなされ,熟考し、何度も繰り返す機会となりました。つまり新しい内容に興味を持つためには、すでに興味ある内容との接続が大切です。

難しすぎる挑戦にはリスクがある

難易度の高すぎる挑戦は、自己効力感が低下させ、より他者からの励ましのフィードバックを得て活動の継続を行っています。例えば、スイミングスクールではじめは楽しく水泳を行なっていた子どもがクロールや背泳ぎとどんどん習得し、上のクラスに進級していきます。進級したクラスがバタフライを習得するクラスだとします。そこには同学年はおらず上級生ばかりで、みんながバタフライが泳げるようになり、自分だけ泳げない状況の場合、子どもは自信がなくなり、スイミングスクールにいきなくなくなる可能性が高まります。子どもは、「やめたい、いきたくない」と感じるようになり、なんとか母親からの励ましで頑張れている状況かもしれません。つまり、難易度の高すぎる挑戦には、他者のサポートを必要であり、サポートがない場合は、興味が薄れたり活動の継続をやめる可能性が高くなります。なので、適切な挑戦できる目標に設定し自己効力感が高い状態で取り組める環境も大切です。

 

まとめ:興味の研究から指導者ができること

興味を深める個人的興味を持つことが大切だということを説明してきました。指導者が学習者に興味を持ってもらうためには、まず状況的興味に対して働きかけます。学習者が学んだ内容が楽しい、面白いといった感情に働きかけるように取り組みます。その際、学習者がすでに学び興味があることと関連付けし新しい内容の興味を喚起することが効果的です。学習者の興味を事前に把握しておくことも大切でしょう。状況的興味を持った学習者に対しては、興味の深さについてアプローチします。より個人的興味を持つために内容が深く理解したか、本質的な部分を確認します。学習者に対して質問することで興味の段階がわかります。例えば、学習した内容のどんな所が楽しかったかを聞くことで、学習者の興味段階を検討することができるでしょう。学習者1人では、興味の深さに出会っていない、気づいていない場合があります。より熟練した人から内容の面白さを伝えながら、興味を育てることが大切です。