STEM課題は個人で行うより集団に所属した方がパフォーマンスが上がる

STEM(ステム)教育が世界でも導入されてきています。STEMとはS(Science)T(Technology)E(Engineering)M(Mathematics)の頭文字をとったもので、科学・技術・工学・数学を総称する言葉です。幼児の頃からSTEM教育に関わることで、STEMへの信念・態度・行動を促進することは特に有益であるという研究もあります。以前プログラミング学習は何歳からすれば良いのかという記事で紹介しましたが、小学校1年生のプログラミング体験することで、プログラミングへのモチベーションや自己効力感が上がった研究もあります。

STEMにおける最小条件集団の実験

今回は2017年にワシントン大学(1)が行なった研究を紹介します。就学前幼児におけるSTEMへの興味と自己効力感について調査する最初の研究です。研究では「最小条件集団」の研究デザインを使用して、未就学児童が内集団でSTEMへの関与の変化するという特定の社会的操作があるかどうかを調査しました。最小条件集団の実験例として、課題によって分けられた集団なのにも関わらず、自分の属する集団をひいきし、対立する理由のない外集団に対してライバル視してしまうというものがあります。ただ理由がないグループに分けられると言う、最小条件でも集団意識が強まるのです。今回は最小条件実験を利用して、集団に所属した方が、個人で行うよりSTEM課題のパフォーマンスがあがったという結果になりました。

実験の方法

参加者は150名の4-5歳児(女児72名,男児68名)です。4-5歳の子供は、1人2回課題を行います。グループに所属してSTEM課題を行う場合とグループに所属しないでSTEM課題を行う場合の2回行いました。課題は、数と物体のマッチング課題とパズルを組み合わせる課題です。グループや個人の順番、課題に取り組む順番はランダムです。上記の写真は研究資料より引用しております(1)写真のように、グループになると壁に同じ色(例;緑色)のシャツを着ている子どもたちのポスター写真を配置し、子供たちは緑色のシャツを着て、緑色のテーブルクロス、同じ色の椅子に座って課題を行います。一方個人では、色のついたTシャツ(例;黄色)を着るように伝えられ、壁のポスターには異なる色のシャツを着る子供の写真が貼られています。そのような状況でSTEM課題を行います。

実験の結果

その結果、90%の子供が所属したグループは好きだと回答しました。子供が集団に所属している場合のSTEM作業の持続性はグループに所属した方が高い結果になりましたまたグループの一員であったほうが個人として行うよりSTEM関連課題に対してより多く正確に行なっていましたSTEMへの興味や自己効力感もグループの一員として課題を行う方が高かったです。またどちらかの課題を持って帰るか聞いたところ、子供がグループの一員として遂行した課題を選択するほうが上回る結果となりました。

実験から考えれること

実際に幼児はグループメンバーと交流しておらず,グループでの経験や信念がなかったのにも関わらず,グループに実験中所属したことで,STEM作業へのパフォーマンスがあがりました。これは、未就学児童が社会的役割や目標に敏感であることが示すことができるでしょう。特に社会的接点がないとみなされることが多いSTEM領域において社会的グループの一員であることが幼児のモチベーションを高めることにつながりました。

教育での応用

習い事や家でも、STEMの課題に取り組むときは、個人で行うのではなく、グループを意識させて行うとより高いパフォーマンスにつながるかもしれません。特に所属グループに価値を見いだすことができれば、個人はグループの目標達成できるように貢献しようとする気持ちになるのかもしれないです。この実験では同じグループで同じ色のシャツを着る子どものポスターを見ただけで、子どもたちはグループと感じ,個人の課題よりグループの課題の方が高いエンゲージメントを示しました。今後教室でも、STEM課題に取り組むときに、グループの所属感を持つことが子どものモチベーションを高めることができるかもしれません。

まとめ

4から5歳の子どもでも集団の意識があり、STEM課題へのパフォーマンスが上がるというとても驚くべき結果となった実験を紹介しました。最後に研究家から分かったことをおさらいとしてまとめています。

研究から分かったこと

  • 実験で90%の子どもは所属したグループが好きだと答えた。
  • STEM課題に取り組むときはグループに所属している感覚持つことでより課題を多く行った
  • 個人に比べ、グループの方が正確さ、興味、自己効力感なども高かった

このブログでは、海外のプログラミング教育や学習心理学に関する最新の研究を今後も紹介していく予定です。

それでは、また。