自ら学び続ける自己調整学習を徹底解説。どうすれば自己調整学習者になれるのか。

 

自己調整学習という言葉が注目されてきています。自己調整学習とは、学習者が自ら学び目標の達成に向かって実行し続けるプロセスのことです。文部科学省の学習指導要領の理念「生きる力」では上記の3つをかがけています。その中の1つに、確かな学力という項目があります。確かな学力とは、基礎・基本を確実に身につけ、自ら課題を見つけ、自ら学び考え、主体的に判断し、行動し、よりよく問題を解決する資質や能力のことです。この確かな学力を身につけるためには、自己調整学習能力がとても大切なスキルになります。

自己調整学習を定義づける3要素

自己調整学習は、モチベーション、学習方略、メタ認知の3要素に定義づけることができます。

この3要素が学習成果をもたらすために非常に有効であることが明らかになっております。

1.モチベーション

まず、モチベーションについて説明します。モチベーションは、学習意欲、学習する動機づけとも言われます。モチベーションの研究をされている櫻井先生の著書には、内発的な学習意欲や自己実現のための学習意欲を持つ者は①学業成績の向上②健康の増進③創造性の伸長④働く意欲の促進が起こることが過去の研究より明らかになっています。

2.学習方略

次に学習方略のスキルを持つ者は、効果的な学習方法を認識し取り組むことができます。例えば学習において、暗記を繰り返す浅い学習方略での理解より、意味を正しく理解する深い学習方略の方が身につきます。そのほかに、学習方略は勉強する意欲が起きないときに、どうすれば意欲が取り戻せるかを分かる方略などもあります。

3.メタ認知

最後に重要な要素がメタ認知です。メタ認知とは、自身の状況を正しく理解し、取り組むことができるスキルです。自分の学びがいまどれくらいうまくいっているかを確認しコントロールできる能力です。

自己調整学習を好循環に行う3つの段階

 

 

自己調整学習には、3つの段階があります。

自己調整学習の段階

  1. 予見
  2. 遂行
  3. 自己省察 

自己調整学習者は、この3つを好循環に繰り返します。循環しながら、目標を達成するために行います。

1.予見

予見とは課題前に行います。課題を解決するために目標を設定します。短期的な目標から長期的な目標まであります。例えば、試験合格するという目標を立てます。次に目標を達成するための計画を立てます。試験合格するためには何をどれくらい勉強するかを計画していきます。

2.遂行

次に遂行です。遂行は、予見で行なった学習計画を実行している最中のことです。例えば、学習方略を使用して意味理解をしていくことも遂行に含まれます。また、わからない問題に出会った時、わからないから調べてみようと努めることも遂行段階です。さらに学んだ言葉を要約したり、関連づけることも遂行段階では行なっています。

3.自己省察

最後に自己省察です。自己省察は課題を中断したり、課題を終えた時に行います。省察とは課題を振り返ることです。計画通りに行えたかを確認します。目標と現時点を確認し、どうすればうまくいくのかを考えるのも省察です。自己調整学習者は3つを繰り返し取り組んでいます。

自己調整学習者になるために必要な4つのステップ

 

学習者が自己調整学習のスキルを習得するためには指導者が学習者に伝えることが有効とされています。自己調整学習は備わっているものではなく、育てていく者です。また領域ごとによって必要なスキルも違うため、それぞれの領域で自己調整スキルを発達する必要があります。例えば、足し算の獲得と鉄棒の逆上がりの獲得では学ぶスキルや方略が全く違うため、それぞれの領域で自己調整学習の発達をしていきます。初学者が自己調整学習者になるために4つの段階があります。

1.観察

学習の初期の段階では、他者の行動を観察することから始めていきます。観察することでスキルや方略の理解することを目指します。

 

2.模倣

模倣では観察と違い、実際に行動していきます。他者からアドバイスをもらいながら、実行していきます。この段階では他者との関わりを必要としているため、学習そのものは内在化していません。

3.自己コントロール

他者が取り組んでいた課題や類似の課題に対して自分の力で方略やスキルを利用できるようになります。しかし、特定の場面で必要なスキルを適用できるように自分をコントロールしながら形成していく段階です。結果よりもプロセスを重視しながら経験していきます。

4.自己調整状態

自己調整状態は、予見・遂行・自己省察を行います。自分の置かれている状況に応じて、獲得したスキルや方略を適切に自分で調整して行うことができる状態です。学習者は他者に頼ることなく方略を利用することができます。プロセスよりも結果を目標とし、スキルや方略を使用していきます。1観察と2模倣の段階は他者の支援が必要です。3自己コントロールと4自己調整状態では他者から自立に向けて移行していく段階です。

まとめ

自己調整学習は目標を達成する上でとても大切です。目標を適切な他者の支援を得ながら、自分で行える自立を目指します。自己調整学習者は、自己効力感が高く学業成績も良いことが研究で明らかになっています。まずは予見・遂行・自己省察を意識しながら普段の生活で自己調整学習を取り入れてみることをお勧めします。